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代表より

古川量巳

 法学誌「ジュリスト」で「交通事犯受刑者処遇の現状」と題するレポートを読んだ。
 道路交通法違反の取り締まり件数は年間800万件前後で推移していたのが平成17年には895万件(前年比5.1%増)、危険運転致死傷の検挙者数279入(前年比3.3%増)と急増している。
 900万件近いこの数は毎日どこかで2万5千件近い交通犯罪が発生していることを物語っている。すべての運転免許所有者の10人に1人が年間1回以上の交通犯罪を犯している計算にもなる。
 市原刑務所に平成18年に入所した人は486入で、「業務上過失致死」178入、「道路交通法違反」153人、「業務上過失傷害」134入、「危険運転傷害」15入、「危険運転致死」6入、刑期は最短4ヵ月、最長4年6ヵ月、平均年齢38歳。レポートのタイトルが「処遇の現状」とあるように施設の一部を除いて窓や格子、扉の施錠がなく、周囲は金網のフェンスを巡らせただけの開放的処遇施設であること、再犯防止や社会復帰のための綿密な教育カリキュラムの詳細などが報告されている。
 同刑務所の調査による「過去10年間の再入所率は10.5%で、その68.5%が道路交通法違反者であり、その再犯傾向の高いことが顕著」と報告されている。出所後の就職未定者が30%とも報告されている。
 レポートはまた、独立行政法人自動車事故対策機構の「交通事故を起こしやすい人」の特質として、
 (1)自分を抑えられない人
 (2)せっかちな人
 (3)他人の気持ちを察することかできない人
 (4)自分勝手な行動を取りやすい人
 (5)自分の失敗を他人のせいにする人
を挙げている(首を傾げたくなるが、そのまま引用した)。
 これらは簡単な心理テストで判定できる。運転免許取得時に該当する人それぞれに相当する事前教育を受けることを交付の条件にすれば、交通犯罪はかなり予防できると思う。被害者と犯罪者を出してから手間、暇かけて教育するより「予防」教育に力点を置いてほしいものである。