クルマ社会を問い直す会 トップへ
会報より トップへ

代表より

杉田正明

 本会報で別に報告した「環境・交通・まちづくり市民フォーラム」で筑波大学講師の谷口綾子さんが「モビリティマネジメントとは」と題して講演されました。
 谷口さんは、交通を巡る社会的ジレンマの解決について、2つの方略、すなわち「構造的方略」と「心理的方略」があるとしてお話しされました。構造的方略とは、たとえばロードプライシング・罰金・税金などの法的規制や、道路新設や駐車場設置などの施設またはシステムの改善を指し、心理的方略とは、たとえばテレビ広告やポスター、イベントなどによる啓発キャンペーンや、学校教育や社会教育などの教育・コミュニケーションを指すとのことです。谷口さんは、コスト・空間的制約・市民の理解などから構造的方略のみで社会的ジレンマを解消することは困難であるとし、一方、キャンペーンや教育をしても必ず非協力的な人が出るので心理的方略だけでも解決できないことから、両者を適切に組み合わせることが重要と話されました。その上で谷口さんは、心理的方略、金やチカラではなく言葉で人々の意識行動を変える方策の研究に取り組んでおられることとその成果の一部を紹介されました。
 本会報で別個報告した内容を見ていただければ明らかですが、私が当日アッピールした内容は、谷口さんの分類を当てはめれば、構造的方略の提案です。制度作りの方向の提案です。私は、抵抗・反対が多くても、実現を妨げる要因が大きくても、根源的で抜本的で実現すれば効果が大きい脱クルマの仕組み・制度を作っていくべきと考えており、当日のアッピールはその姿勢から行ったものです。会場の見知らぬ人が「乱暴だが賛同する」と後で話しかけてくれました。私は本当にやらねばならないことは、徐々に賛同が得られいずれ実現すると期待しております。
 大きな枠組みでの構造的方略だけでなく、個別の問題での構造的方略についても知恵を練る必要があります。先日11月15日に首都圏では日本テレビ「報道特捜プロジェクト」で通学路に進入禁止を無視してクルマが侵入している船橋市・国分寺市の実態とそれに対するそれぞれの警察の対応が紹介されました。国分寺市では進入禁止を表示したバリケードを通学路に置いておいてもそれを脇にどけて侵入してくる様子が映し出されました。この国分寺市では、日本テレビが警察に取材申し込みをした直後から警察官の取り締まりが始まり、3週間ほど毎日の取り締まりが続く中で違反が大幅に減ったと報じられました。
 私はスクールゾーンへの時間を限った進入禁止を実行あるものにするためには、撤去が容易なバリケードの設置ではなく、あるいはまして船橋市のような単なる規制の表示だけではなく、該当道路の入り口のすべてにボラード(杭)を時間を限って差し込み、それに鍵(ナンバー鍵)を付けて簡単に抜き出せないようにすべきと思います。ただし1カ所だけは鍵をせずに、スクールゾーン内沿道のクルマ保有者がそこから出入りできるようにすべきと思います。仮に外部から通り抜けのためにここから入っても、出口が封じられる形になります。本当はスクールゾーン内沿道のクルマ保有者に対しても、朝の7時から8時半などの時間帯は子供の安全のためクルマの運転禁止を強制すべきと思いますが、強い抵抗が予想されます。尚、救急車・消防車などの緊急車に対してはあらかじめ鍵のナンバーを教えておくことが必要でしょう。また、ボラードの差し込みと抜き出しの作業は、警察自身が行うか、地域の協力者に委託して行う形がよいと思います。