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事務局より

清水真哉

 クルマ社会を問い直す会では昨年の秋、高速道路料金の大幅引き下げに対して「持続可能な地域交通を考える会」他の団体と共同声明を出したのに引き続き、今号でご報告した通りこの五月に自動車購入補助に反対する声明を出しました。
 しかし今度の不況に対する経済対策の絡みで決定された一連の政策の中で、日本の経済や国土に対して一番長期的に影響を与えるのは、高速道路建設計画の復活であると思われます。小泉政権で一旦凍結になっていましたが、景気対策と称せば何でもありの麻生総理の元で凍結解除となりました。
 とりわけ東京外郭環状道路練馬−世田谷間では、わずか16kmに1兆2820億円という桁外れの事業費で、その大半が税金であると言います。道路公団民営化の理念など見る影もありません。その道路が必要か否かではなく、建設業界を助けるためだけの公金の支出が強引な政治力でなされたと推測されます。この外環道路は大深度地下方式で建設され、地下水など環境への影響も懸念されています。
 こうした暴挙に対して私達は何を為し得るのでしょうか。問い直す会がこれまで主として取り組んできた交通事故の問題については、交通事故は減らすべきであるという基本的な点において国民的な合意が出来ていると言えます。しかし道路については、「必要な道路はこれからも造っていく」というのが政治の世界の主流の意見です。また道路建設については巨大ゼネコンから末端の建設労働者にいたるまで利害関係者が多く、強大な勢力が根を張っています。
 道路建設に対する反対運動というものは存在します。ただその主力は、自分の土地が道路建設の用地に当っていて立ち退きを命じられているといった当事者が主体の運動です。その運動の中でさまざまな理論武装を進めてはいるでしょうが、基本は住民運動です。
 自分の裏庭には造らないで欲しいというNIMBY(Not in my backyard!)型の運動ではなく、今の日本にこれ以上の道路・高速道路が必要なのかという総合的な国土計画・交通政策、環境政策の観点から道路建設反対運動をしている団体というものを私は寡聞にして知りません。
 私は問い直す会がその機能を果たしていってもよいのではないかと考えています。人口減少社会、地球高温化対策と、これから自動車が減っていく、減らしていかなくてはならない時代に入っていき、道路容量もむしろ削減していくべきで、高速道路、都市計画道路を問わず、新規建設などもっての他です。この運動は問い直す会の実力からすると手に余るかも知れませんが、道路に反対する理論だけでも磨いておきたいものと考えています。