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 日本共産党からの回答
        最終更新日:2004.06.27

クルマ社会を問い直す会 御中

みなさまの日頃からのご活動に敬意を表します。
先般、日本共産党宛にいただきましたご質問について、
添付ファイルのとおり回答させていただきます。
ご確認の上、ご手配くださいますようよろしくお願いします。

【連絡先】
日本共産党選挙アンケート係

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2004年6月26日
日本共産党
選挙・アンケート係

クルマ社会を問い直す会の交通政策に関する質問書」に対する回答


1) 国民の移動する権利を保障し、環境的・社会的に持続可能な交通体系の構築を求める交通基本法が昨年、民主党と社会民主党により共同提出され廃案になりましたが、この法案に対する貴党のお考え、今後の対応をお聞かせください。

(答え)交通関係の規制緩和、交通機関の民営化などによって、地方鉄道ローカル線やバス路線の廃止などが全国各地でおこなわれています。そのため、国民の足、「移動の権利」が奪われています。
現在政府が推進している「都市再生」は、一部の大都市に公共事業を集中させ、バブル期に計画され、頓挫していた開発を公共事業の後押しで復活させ、巨大再開発を推進するものです。そのためあちこちで環境破壊やまち壊しがすすみ、高齢者・障害者・子どもなどが安心してまちを移動できないなど、新たな交通弱者を生み出しています。
 こうしたことから、政府の交通政策の抜本的転換が今日的課題になっています。交通の足を奪われた移動困難者や交通弱者などの国民に、新たな権利を保障する「交通基本法」の意義は大きいと考えます。
 しかしこの法律は、「国際競争力の維持、強化」「国際的海運及び国際的航空の中核的拠点となるべき施設整備」とのべており、現在すすめている関西空港2期工事など巨大でムダな公共事業をいっそう促進する条項も含まれており、この点は正すべきであると考えます。
 なおこの法案は審議未了のまま廃案となったため、わが党が問題点の指摘や態度を表明する機会はありませんでした。

2)温暖化対策について、二酸化炭素排出量の削減が目標通りに進まず、あらためて環境税という経済的対策の必要性がクローズアップされてきましたが、環境税導入に対する貴党のお考え、また導入しない場合には、その代案をお聞かせください。

(答え)二酸化炭素排出量に応じた環境税の導入によって、地球環境問題対策の解決のための対策や大気汚染被害者の救済、自然エネルギー促進などのための財源の充実をはかり、地球温暖化対策での国際的公約を果たすことが求められています。
 EU諸国で温暖化ガスの排出削減のため導入されている政府と産業界との協定制度を日本でも導入し、地球環境の分野でも企業の社会的責任を果たすべきです。

3)イギリスでは道路交通削減法という法律が制定され、目標を立てて道路交通量の削減を進めています。地球温暖化、道路建設による自然破壊、地方公共交通機関の衰退、地方中心部の空洞化など、車社会の弊害としての諸問題を考慮すると、日本でも自動車依存社会から脱却するために具体的目標を定めて努力することが必要な段階を迎えていると考えますが、貴党のお考えをお聞かせください。

(答え)自動車排ガスと健康被害との因果関係をあいついで司法が認め、国・都・道路公団に被害者への賠償を命じました。また圏央道(首都圏中央連絡道路)東京地裁判決に見られるように、道路建設、公共事業のあり方についても司法からきびしい批判がなされています。
それだけに、くるま優先で自動車道路の建設を促進して、公害を悪化させる行政の姿勢を根本的に転換させる必要があります。
 日本の温暖化ガス排出は、エネルギーの消費にともなうものが大部分を占めています。イギリスは長期的な目標として二酸化炭素を1990年比で2050年に60%削減する目標を打ち出し、ドイツは2020年までに45%削減するという目標を掲げています。日本でも長期的な見通しをもった計画が必要です。
イギリスでは、1997年に道路交通削減法が制定されました。この法律では、地方当局の管轄下の道路の場合、道路交通レベルの削減目標、将来の道路交通成長率の削減目標を設定することを要求しています。
 また最近、ロンドンでは渋滞緩和対策としてロンドン中心部に乗り入れる車両に混雑課金を課す制度を導入したとのことです。我が国でも、環境問題、交通安全などさまざまの点から道路交通量の削減を真剣に考えるべきであり、法制定も含めて具体的に考えるべき時です。

4)モーダルシフトは、総論としては推進されることになっていますが、トラック輸送の方が環境や安全面での負荷が大きいにもかかわらずコスト面から選択されるという状況が続いています。鉄道貨物が経費の面でも優位に立てるよう、財政や税制上の措置を講じるべきであると考えますが、貴党のお考えをお聞かせください。

(答え)モーダルシフトは必要なことと考えています。JR各社が、旅客優先の全国鉄道輸送体系をとっているため、鉄道貨物輸送は大きな制約を受けています。とりわけ国鉄分割・民営化によってそれが加速化され、結果、貨物の鉄道離れがいっそうすすみました。
 とりわけ東北新幹線など整備新幹線整備による平行在来線の切捨ては、全国を一貫する鉄道輸送に決定的な障害を与えています。
 国内物流における輸送機関分担率では自動車が最大で、そのシェアは50%を超えています。トラックの排出原単位(1トンキロ輸送あたりに排出する二酸化炭素の量)は、大量輸送機関である鉄道・内航海運に比して大きく、貨物輸送部門の輸送機関別CO2排出割合においても、全体の9割を占めています。CO2の排出を抑制するためには、鉄道や内航海運等、単体のエネルギー消費効率のよい輸送機関の活用を図るモーダルシフトを促進することが重要です。そのためには、鉄道等による貨物輸送が輸送効率の面でも、コスト面でも優位に立てるよう財政、税制、交通政策といったさまざま面からの支援策を講じることが必要です。

5)羽田空港は再拡張により航空機の発着量が1.5倍になるとされていますが、温暖化ガスの排出量削減が緊急の課題とされる中、とりわけ温暖化効果の高いとされる航空量を増やすことに為政者の誰も疑念を抱かずにいることは訝しいことと言わねばなりません。
 これ以上の空港整備は中止し、高速鉄道を整備し、環境への負荷の大きい航空輸送から鉄道への乗り換えを進めることが必要と思いますが、貴党のお考えをお聞かせください。

(答え)空港整備や航空輸送から鉄道等への転換については、国民の利便性なども考慮しつつ、転換を促進すべきです。羽田の再拡張問題は、温暖化ガス排出の問題のみならず、航空機騒音問題、国・地方の財政負担、首都圏一局集中の加速、黒字・赤字路線の二分化による地方路線の切捨てなどさまざまな問題点をもつものであり、羽田再拡張を内容とした「東京国際空港における緊急整備事業の円滑な推進に関する特別措置法」には反対しました。

6)鉄道整備は新幹線や地下鉄の新規建設に偏り、地方鉄道や路面電車は、独立採算を求めるばかりで最低限の安全性の確保さえ難しい状況に追い込まれています。在来線への再投資を進める財政上の枠組みが必要であると思いますが、貴党のお考えをお聞かせください。

(答え)現在の鉄道に対する投資が新幹線や新規地下鉄建設に重点がおかれていることはご指摘のとおりです。第3セクター鉄道も含めた地方鉄道は、安全投資が軽視されているばかりか、その存続さえ危ぶまれる事態になっています。また整備新幹線建設の結果、平行在来線が存続できす、地域住民の足が奪われています。
 こうした地方鉄道の状況は、赤字がリストラなど合理化につながり、合理化が利便性の低下と安全軽視、旅客の減少につながるという悪循環に陥っています。
都市では路面電車が再評価されています。地下鉄は地上との階差があり、高齢者や障害者が使いにくい面もあり、地域に密着した路面電車が見直されています。
 空港整備や新幹線、高速道路建設など大規模プロジェクト中心から、生活に直結した地方鉄道や路面電車に再投資を行うなど、投資の流れを転換すべきです。

7)自転車利用の推進は、総論としては賛成されますが、現実には自転車の走行空間の拡大は遅々として進んでいません。片側2車線以上ある道路では必ず1車線を自転車(およびバス)の優先車線とする、片側3車線以上ある道路では必ず1車線を自転車の専用車線とする、といった判断が必要と思われますが、貴党のお考えをお聞かせください。

(答え)現在、政府がすすめている自転車利用の対策は、駐輪場の整備や既存道路の拡幅、小規模バイパスの建設と併せた自転車通行道と歩道を分離する施策程度であり、それも遅々としてすすんでいません。
 それは、日本の道路政策が自動車通行優先で自転車利用や歩行者の安全や利便性を軽視しているからです。片側2車線、3車線道路について、そのうち1車線を自転車、歩行者優先にすることは検討に値すると思います。しかし自転車と歩行者やバスなど大型車との
関係など安全性や通行方法の確立も含めて検討しなければならない課題もあります。

8)また自転車利用の促進のためには、自転車通勤者に対する通勤手当の割増や、税制優遇などの政策が必要と思いますが、貴党のお考えをお聞かせください。

(答え) 自転車通勤者に対する通勤費の支給は通常の交通機関を利用した場合の通勤手当程度は支払うようにすべきです。税制については、通勤手当として支給されれば一定条件のもとで非課税とされており、その範囲で対応可能かと思います。自転車通勤を普及するためには、駅周辺の自転車駐輪場の整備の充実、事業所における駐輪場の確保など今後の課題もあります。

9)交通安全
交通事故件数・死傷者数は、目標を立てて半減また半減と、零を目指してたゆまず努力していかなくてはならないものと考えますが、交通事故を減らすための具体的手段として貴党はどのような政策をお持ちかお聞かせください。

(答え)2003年の交通事故死者は8326人、死傷者数は117万6181      人、事故発生件数も93万6721人で依然として、大変深刻です。死者数は減少しているものの、高い水準を維持していることに変わりはありません。現在の政府の交通安全対策のような、あいまいな姿勢と目標ではなく、交通事故の死傷者を限りなくゼロに近づける長期目標と、それに近づけるための段階ごとの計画をきちんと持つことが重要です。日本共産党はかねてから、人命尊重がなにものにも優先されるべきであるという立場から交通安全対策と交通安全施設整備の充実を求めてきました。
 交通事故の多発の根本的原因は、1960年頃からのモータリゼーション野放し政策にあります。そのことは、保有自動車台数に比例して、事故件数、死傷者数が増加していることに現れています。特に東京、横浜、川崎、大阪などの大都市では、自動車交通量そのものを制限しない限り交通事故件数を減らすことはできません。
 そのためには、鉄道、バス、路面電車など大量公共交通機関中心のシステムを確立する一方、自動車の総量規制基準を決め、区域内の自動車保有規制、走行量規制などをおこなうべきです。特にディーゼル車については中小運送業者への支援措置を強めつつ、大都市区域内への乗り入れの規制をさらに強めるべきです。

10)事故時の映像や時速、ハンドルの動きなどを記録するドライブレコーダーは事故の実証的な解析に極めて有効であり、危険な運転を抑止する効果も見込めることから、全ての自動車に搭載を義務付けるべきであると考えますが、貴党のお考えをお聞かせください。

(答え)最近、ドライブレコーダーが商品化されています。メーカーの宣伝では、交通事故の場合の責任をはっきりさせる上で効果があるとされています。事故の際の解析に有効な点、危険な運転の抑止効果になるとの指摘がありますが、設置しただけで直接的な効果があるかどうか、いま少し実証的な検討が必要かと思われます。
 また、交通事故の際の警察捜査に使われるのではないか、などの問題点があり、直ちに搭載を義務付けることについては、慎重な検討が必要です。

11)子供の遊び場について
かつて路地や空地は子供の遊び場であり、子供の心身の発育のための大切な場所でした。それが昨今は、路地は、通り抜け道路となり、空地は駐車場と化して、子供たちは駆逐されました。TVゲームを止めて外で遊ぼうにも、その場所は見つけ難いのが現状で、近年の子供の基礎体力低下の原因ともなっていると考えられ、戸外で遊ぶための場所を確保することは教育政策上も重要な課題と思われます。路地での自動車の走行を制限し、路地を子供達に返還すること、また空地を子供の遊び場として提供した場合には固定資産税を減免するといった施策が必要と思われますが、貴党のお考えをお聞かせください。

(答え)確かに路地や空地はかつて子供の手頃な遊び場でした。ところがモータリゼーションの普及によって路地まで自動車が入り込み、道路で遊ぶことは危険な状態のところが増加しています。当面すぐに道路を遊び場として復活することは困難な課題ですが、交通規制などを強化して安全な道路をつくることは必要です。
 また、身近に公園やプレイロットを整備し、子供の遊び場を確保することも重要です。空地を遊び場として活用する場合に固定資産税を減免することは、既に多くの自治体で一定の基準を満たせば減免措置をおこなっていますが、さらに拡充することが必要です。
 いずれにしても地域の実情をいかした、規制や取り組みが必要です。

以上


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