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自動車交通優先政策の見直しを求める要望書

最終更新日:1999.11.23

建設大臣 中山 正暉 殿
                  1999年11月22日
                  クルマ社会を問い直す会


 私どもは、今日のクルマ社会において、特に子どもや高齢者、障害者をはじめとする社会的弱者が絶えず交通事故の危険にさらされ、死傷させられている現実をたいへん憂慮しています。また、多くの人々が排ガスや騒音による健康被害を受けていることや、公共交通の著しい衰退により移動の自由を奪われていることも、深刻な問題ととらえています。これらは、憲法に保障された国民の基本的権利を脅かす問題です。このような現状は、自動車の持つリスク(加害性・公害性)に対する対応策が充分にとられないままに、人の移動も物流も自動車に依存する社会システムが推し進められてきたことに原因があると、私どもは考えます。
 そうした観点から、今の道路・交通行政を根本から見直し、かつ、早急に具体的な改善策を図っていただきたく、次の点を要望いたします。


(要望項目)

1. 道路の歩行者安全対策を優先的に推進してください。

2. 歩行者・自転車・公共交通優先型の町作りを推進してください。

3. 大規模道路建設推進政策を見直してください。

4. 自動車交通の総量削減対策を推進してください。



(項目別要望内容)

1.道路の歩行者安全対策を優先的に推進してください。

(1)「歩道設置必要延長」とみなす道路には、早急に歩道をつけてください。道路拡幅が困難な場合には、歩行者の安全を第一に考え、道路を一方通行にして歩道をつけることを検討してください。

(2)「歩道設置必要延長」と見なされない道路にも、危険な道路は無数にあります。幹線・準幹線級の道路の場合には、それらをあらたに「歩道設置必要延長」と認定してください。

(3)補助的道路・生活道路などの道路は、住民の生活と両立するよう一方通行化・袋小路化をはかる、花壇・樹木・ベンチなどを路上に置いて道を蛇行させるなど物理的にスピードを出せない構造にする、自動車の乗り入れを制限する、等の対策を、道路管理者としてとってください。

(4)対歩行者事故を防ぐ策として、生活道路や横断歩道付近へのハンプの設置を推進してください。交通量の多い交差点や事故の多い交差点には、自動車の侵入を物理的に止める方策として、横断歩道の両脇に信号に合わせて昇降する遮断機の設置を検討してください。

(5)市民参加型の「交通安全総点検」事業をさらに推進してください。そのために、市民への広範な広報活動を積極的に行なってください。



2.歩行者・自転車・公共交通優先型の街作りを推進してください。

(1)コミュニティーゾーンやコミュニティー道路の建設をさらに推進してください。ドイツ圏の『ゾーン30』のように、コミュニティーゾーンは対象区域の条件の枠を広げて、小学校を中心とした小区域でも形成できるようにしてください。

(2)公共交通の利便性を高め、利用者を増やす対策として、バス専用レーンの増設や、市街地におけるトランジットモールの設置を積極的に推進・支援してください。

(3)自家用車から公共交通への乗り換え誘導策として、パークアンドライドやロードプライシングの導入を推進・支援してください。パークアンドライドは、駐車場の建設が逆にそこまでの自動車利用を高めてしまうことのないよう、導入前の動向・導入による影響を充分に検討したうえで行なうよう、事業者に指導してください。



3.大規模道路建設推進政策を見直してください。

 高速道路・高規格道路の新たな建設は、自動車利用率をさらに高め、その結果交通事故をさらに増やし、また、自然環境を破壊し、排ガスによる大気汚染に拍車をかけます。また、道路建設の分担金は地元自治体の財政を圧迫しつづけています。高速道路の6割が赤字の現状も踏まえ、新たな建設について根本的な見直しをしてください。



4. 自動車交通の総量削減対策を推進してください。

 交通事故削減、大気汚染や騒音の緩和の観点からも、都市内における自動車交通の総量削減は急務の課題です。道路管理者として、都市部のクルマ乗り入れ規制、駐車規制、ロードプライシング等の総量削減対策推進を働きかけてください。交通の円滑化を目的とした道路の新設や整備については、それが自動車総量の増加をもたらしてきた過去の事実を踏まえ、慎重な検討を図ってください。また、総量削減について建設省としてどのような具体的ビジョン(削減目標やその達成目標年数)を持っているのか、お聞かせください。


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