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【日本共産党中央委員会からのご回答】

クルマ問題と交通政策に関する政党アンケート
〜 2009年総選挙にあわせ政策を問う 〜

ご回答日: 8月 3日(消印)

歩行者・自転車利用者の安全・安心

交通事故死者が減ったと言われる半面、昨年度だけで見ても阪神淡路大震災の犠牲者に相当する被害者・犠牲者を毎年出し続けているような状況で、事故件数も高止まっています。特に昨年度は歩行者・自転車乗車中の交通死者が半数近くにのぼり、先進国では例を見ない異常事態が続いていますが、これは安易なクルマの使用を是認する社会のツケが、クルマに乗らない選択をする歩行者・自転車利用者に転嫁されているという、極めて理不尽な実態があることを表しています。

自動車が歩行者を殺傷する「事故」は後を絶たず、最近報道されただけでも、生活道路において暴走自動車が子供を轢き殺す、歩道で信号待ちをしている人を危険運転のクルマが轢き殺す、歩道に乱入したクルマが歩行者をはね飛ばす、といった凄惨な事件が頻発していますが、繰り返されるこれらの「事故」も、都度反省をし、下記のような対策がきっちり取られていれば防げたものが多いと指摘されています。

通学路の安全確保
歩車分離されていない全ての通学路において、速度制限の強化やハンプ等を用いて自動車が速度を出せない構造にすること、交差点を歩車分離信号にすることなどによる安全性向上策が有効と指摘されています。こうした施策をどう評価されますか。

■賛成 □反対

理由: 登校時の通学路は、できるだけ自動車の進入を制限すべきですが、下校時や制限のむずかしい道路については、速度そのものを抑制し、車道の幅を狭めたり、イメージハンプなども活用して、車の速度を落とさせるようにすべきです。

生活道路の交通規制の在り方見直し
自動車の走行速度が30km/hを超えると、交通事故被害者(歩行者・自転車)の重体・死亡に至るリスクが急激に高まることが知られています。生活者の安全・安心を確保するため、全ての繁華街・住宅街の道路を30km/h以下に制限することが有効と指摘されていますが、この施策をどう評価されますか。

■賛成 □反対

理由: 40km/hキロの場合、ブレーキをかけて止まるまでの距離が、30km/hに比べて6割(8メートル)も長くなります。騒音の抑制を考えても、30km/h以下に抑えるべきです。

ドライブレコーダーの普及
自動車交通事故の原因究明と抑止に効果があり、しかも比較的安価(現在実施されている「エコカー」補助金の 1/3 程度)に搭載が可能なドライブレコーダー(事故発生前後の映像・運転操作等を自動的に記録する装置)が、営業車への導入は進んできましたが、自家用車への導入がいっこうに進みません。普及させるための具体策を持っていますか。

■ある □ない

具体的に: ドライブレコーダーの搭載を義務づけるとともに、必要性を考慮すればETCにおとらず、その取り付けに助成を行うべきです。

ITS等による安全対策
ITS等の新技術を活用した制限速度・信号遵守システムや、酒酔い運転防止システムが実用段階に入っています。これらの装備の普及・義務化や、道路側の関連インフラ整備などをすすめるための具体策を持っていますか。

■ある □ない

具体的に: 個別の技術では有効なものがあり、その実用化のための実証的、実用的な研究・検証を強めます。現在、道路には巨額の予算が投じられていますが、こうした生活道路の安全性向上のための改善に、道路予算の重点を置くよう転換します。

交通事故対策
貴党では、歩行者・自転車利用者が被害者になる交通事故をなくすための具体的な政策をお持ちですか。 なお、上記以外の具体策をお持ちでしたら当欄にご記入ください。

■ある □ない

具体的に: 基本は、歩行者・自転車・自動車の通路を分離し、歩道や自転車専用レーンを設置することです。道が狭いところでは自動車の進入を規制し、交差点での歩行者、自転車の安全を優先させたルールを徹底します。電気自動車などが増加している中で、走行音が極めて小さくなり、目や耳の不自由な人をはじめ危険が増しています。注意を促す音響装置の取り付けなどが必要です。

環境・公害・エネルギー問題の改善

京都議定書後の地球温暖化対策を決めるCOP15の開催を控え、また今後の私たちの生活を持続可能なものにするためにも、枯渇に向かう石油に頼らない社会の仕組みづくりが求められています。

交通部門は国内のエネルギー消費量の2割を占め、そのうち自動車が9割を占めています。特に1990年比で5割以上も増えた自家用乗用車いわゆる「マイカー」は、平均わずか1.5人を運ぶために 1t もの塊を動かす必要があるため、そのエネルギー消費量は鉄道の10倍、路線バスの3-4倍にのぼり、いわゆる「エコカー」への切り替えでは莫大な費用がかかる割りに僅かな効果しか見込めないことから、まずはクルマを減らして鉄軌道・バスや自転車の利用を増やすことが必要であると指摘されています。

また、工場排煙への環境対策が進む半面、自動車排ガス対策は進まず、特に自動車走行量が増えたことによる公害が深刻度を増しています。喘息罹患者数が急増し続けており、特に幹線道路沿いの健康被害が著しく顕れるなど、自動車排ガスによる公害がますます深刻になっています。

クルマ以外の交通手段への転換促進策
日常生活におけるクルマ依存が、渋滞や環境、健康などへの悪影響を及ぼすことから、たとえばロードプライシング(渋滞課徴金など、あえてマイカー利用を選択する者の負担を引き上げる施策)やモビリティ・マネジメント(情報提供などによりマイカー以外の利用をすすめる施策)など、マイカーから公共交通や自転車、徒歩などへの転換をすすめるための政策が提案されています。このような、過度なクルマ利用を減らすための具体策を持っていますか。

■ある □ない

具体的に: 都市計画法を見直し、市街地に自動車を入れない地域、自動車は入れても歩行者なみの速度しかだせない地域を設置。パーク・アンド・ライドやカー・シェアリングで、自動車交通量を削減します。バスロケーション・システムの普及などで公共交通機関の利便を高めます。自転車については、別項でのべました。

貨物輸送のモーダルシフト
現状では陸上貨物輸送の9割を自動車が占めていますが、中長距離は鉄道などを、末端部は台車や自転車などを活用することで、貨物自動車を減らすモーダルシフトをすすめることが必要です。そのための具体策を持っていますか。

■ある □ない

具体的に: ITSを、単に道路交通の情報化にとどまらず、鉄道、航空、船舶など貨物輸送にかかわる交通機関と連携したシステムに発展させ、温室効果ガスの排出状況と削減のための選択ができるシステムへ発展させます。輸送に関する排出量は、輸送会社にとどまらず、荷主である大企業の排出データとして検証し、企業の排出削減目標に反映させます。

クルマの総量を減らすための施策
道路整備を進める理由にはよく「渋滞解消」や「環境対策」が挙げられていますが、需要管理がされてこなかったため、結果として道路整備により便利になった自動車は走行量が増え、1990年から2007年まで自家用乗用車から排出される CO2 が5割増になるなど、自動車が原因となる環境問題や渋滞は悪化し続けてきました。このような問題を解消させるためにはクルマの走行量そのものを減らすための政策が必要と考えられますが、そうした政策を持っていますか。

■ある □ない

具体的に: 大幅な削減効果をあげるには、大都市部への基準不適合車の流入を抑え、幹線道路における汚染状況のひどい地域での走行規制など、総量規制による汚染対策をすすめます。ロンドンの混雑税のようなロードプライシング制の導入や、パーク・アンド・ライドの導入、自動車シェアリング制度の普及に力を入れます。

PM2.5(微小粒子状物質)への環境基準の設定
自動車や工場などから排出され、呼吸器はもとより循環器系疾患の原因にもなると指摘されている微小浮遊粒子状物質 (PM2.5) への環境基準設定の議論が進んでいます。今のところ年平均値で 15μg/m3(米国が採用する、死亡リスクが高まる水準)かそれ以下の環境基準設定が検討されています(中央環境審議会 大気環境部会 答申案)。この環境基準設定に賛成ですか。
また、WHO では同 10μg/m3(健康リスクが高まる水準)をガイドラインとしています。日本の環境基準の思想に照らし、適切だと考えられる水準がありましたらご記入ください。

■賛成 □反対

適切な基準: ディーゼル車からの排出が多い「PM2.5」について、アメリカやWHO(世界保健機関)の環境基準にてらしても、日本ははるかに高濃度の汚染状況となっています。こうした基準を参考にし、子どもの場合も考慮して、東京高裁の和解条項にもあるように一刻も早く環境基準を設定し、住民の健康被害をなくす対策をとります。

自動車諸税を自動車の外部費用課税と位置付けること
自動車関連税(自動車税、重量税、ガソリン・軽油・LPGへの課税)の大部分は、昨年度までは「道路特定財源」と言われ、税収をすべて自動車利用者の便益向上に使う仕組みになっていました。反面、自動車の利用が周囲に及ぼす影響(健康被害や地球温暖化など)については考慮すらされず、たとえば喘息などの公害病を患った人の半数は仕事を失い、苦しい生活を強いられる上に医療費なども負担させられてきました。
このような実情を踏まえ、自動車への課税は外部費用課税であると明確に位置付け、その課税を強化するとともに、公害や交通事故等の被害者への補償、および抜本的な環境対策(公共交通の利用促進など)を行う必要があると考えられますが、これに賛成ですか。

■賛成 □反対

理由: ガソリン税など道路建設促進のための財源として使われてきた燃料税や自動車保有関係税を抜本的・総合的に見直し、自動車による温室効果ガスの排出や大気汚染の抑制、公害被害の救済など社会的コストの内部化という観点で、位置づけ直すべきです。

環境・エネルギー対策
貴党では、自動車が原因となる大気汚染・騒音・振動などの環境・エネルギー問題を抜本的に改善するための政策をお持ちですか。 なお、上記以外の具体策をお持ちでしたら当欄にご記入ください。

■ある □ない

具体的に: 高速道路などから発生した低周波騒音・振動によって、不眠、頭痛、めまい、吐き気、耳鳴りなど住民の健康被害が出ています。高速道路床全体の振動を抑える制振装置を設置するとともに、低周波振動の健康への影響について、ただちに調査・研究を行い、環境アセスメントでの影響調査を義務付けます。

公共交通・自転車利用環境の充実

道路上の安全・安心や環境にやさしい生活を実現するためには、クルマに依存しない生活ができる環境整備が欠かせませんが、道路が税金で造られる半面、同じく私たちの生活を支えている鉄軌道や路線バスには厳しい独立採算が求められ、郊外はおろか都市部ですら路線の縮小・廃止が相次いでいます。

また、環境にやさしく、適切に使えば安全性も高い自転車についても、走行空間の未整備や誤った利用(歩道走行や逆走など)が問題になっています。

さらに、エネルギーの大量消費を前提とする自動車利用を減らし公共交通や自転車の利用を促進する政策を実施することで、域外への所得流出を減らし、可処分所得の増加や地域経済の活性化に有効との指摘もあります。

地方鉄道や路線バスの再生
存続の危機に瀕した地方鉄道や路線バスの再生・活性化が全国的な課題となっており、たとえば鉄軌道では上下分離(軌道や駅などの設備にかかる費用は公共部門が負担し、運行・サービスは民間が提供する)の導入などが、路線バスでは運行費補助の強化などが必要と指摘されています。このように地方鉄道や路線バスの廃止を防ぎ再生させるための具体策をお持ちですか。

■ある □ない

具体的に: 地方の高齢化がいっそう進む中で、地方鉄道や路線バスの維持・再生は、地域の“足”を守るために、とても重要です。国の責任で運行助成を行うとともに、利便性を高めるために、公共交通機関の緊密な連携や、共通パスの発行など、住民の要求をいかしながら運用の改善に自治体が取り組むことが必要です。     

LRT・BRT・コミュニティ交通の導入促進
公共交通の利用者を増やすために、幹線には快適で便利な LRT(次世代型路面電車)・BRT(バス高速交通)の、末端部にはきめ細かなコミュニティ交通の導入が期待されていますが、法規制や財源などの壁が立ちはだかっています。これらの普及促進のため、既存車道の再配分をはじめとする導入空間や財源の確保、法整備などを含めた具体策をお持ちですか。

■ある □ない

具体的に: 市街地の自動車需要を減らし、公共交通に移すためには、LRT・BRT・コミュニティ交通の導入は重要なカギです。LRTにおける富山市の取り組みや、JR北海道のBRTの取り組みなどを踏まえ、促進のための制度を整備し、国の助成を強めます。

自転車の適切な活用
自転車が本来持つ安全性や利便性を発揮させるためには、自転車の車道走行の徹底や、既存の車道に自転車レーンを確保することなどが求められています。そのための具体策をお持ちですか。

■ある □ない

具体的に: 自転車利用推進計画法を制定し、自転車専用レーンの設定、駐輪施設の整備、自転車通勤への経済的支援、交通ルール上の自動車に対する自転車の優先など、自動車交通を減らして自転車利用を拡大するための制度の整備を進めます。自転車持込を可能にするよう列車や駅施設の改善を図ります。

総合的な交通政策

私たちの毎日の生活に欠かすことのできない交通において、上記のような様々な問題が噴出していますが、その改善はいっこうに進みません。こうした問題を改善してゆくためには、自動車単体など個別の改善では限界があり、総合的な交通政策が求められています。

たとえば、早くからクルマ社会の弊害を経験し、近年急速に改善が進む欧州では、道路上での優先順位を

「子供・車椅子など>歩行者>自転車・公共車両(路線バスなど)>貨物自動車>自家用乗用車」

であると確認したからこそ、人にやさしい市街地形成や、LRT・貸し自転車の導入などの分野横断的な施策を進められたのだとも言われています。

交通権
クルマに乗らない・乗れない人を含めたあらゆる人に、日常生活に必要な移動を保障する観点から、交通権の保障を定めた法律が必要との意見があります。このような法整備をどう評価されますか。

■必要 □不要

具体的な内容や理由: 国民が安心して豊かな生活と人生を享受するために、交通権の保障と行使が欠かせません。高齢化の進行、郊外型大型店舗の出店自由化、市街地商店街の衰退などで交通需要は増加する一方、公共交通機関の廃止などで地域の“足”は弱体化しています。交通基本法を制定し、交通権にたった交通・まちづくり政策を実現します。

「高速値下げ」への評価
今春より実施された「高速道路料金の大幅引き下げ」により、JR旅客各社の鉄道利用者が未曾有の減少を記録した他、地方鉄道や高速バス、フェリーなどにも深刻な悪影響が出ており、特に週末の高速バスは渋滞に巻き込まれて実質機能不全に陥っています。この政策を総合的な交通政策の観点からどう評価し、今後どう対応されますか。

□良い ■悪い

今後の対応: 政府が実施し、民主党も政策の目玉としている高速値下げは、公共交通へのモーダルシフトにも反し、温室効果ガスの削減にも逆行しています。巨額の税金を投入して、高速料金を引き下げるという施策は、国民生活の現状と国の財政状況を考えれば、社会保障や教育など予算を使うべき優先順位からみて不適切であり、やめるべきです。

マイカー優遇策(「エコカー」減免税、補助金)への評価
実質的にマイカー利用のみを有利にしている「エコカー」減免税や補助金などの優遇策は本当に「エコ」なのか?という指摘が相次いでいます。この政策を総合的な交通政策の観点からどう評価し、今後どう対応されますか。

□良い ■悪い

今後の対応: 有効な大気汚染の環境基準の達成計画や温室効果ガス削減の計画を政府が策定しないまま、今売られている車種のほとんどを「エコカー」と認定して優遇策をとることには反対です。計画を策定した上で、排気ガス・温室効果ガスの削減で、飛躍的に性能が向上した車種を、限定的に指定して優遇策をとる仕組みに改めます。

ありがとうございました。
クルマ社会を問い直す会   代表 杉田 正明
 
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※本質問書へのご回答は 8 4日(火)で一旦締め切り、その時点での集計結果を報道機関向けに発表させていただきます。また、その後にいただいたご回答は随時ホームページで追加報告をさせていただきます。

※本質問書およびいただいたご回答(ご回答の有無、時期とその内容)は、多くの皆さんの政策判断にお役立ていただけるよう、当会ホームページ http://toinaosu.org/ や報道発表などを通じて公開させていただきます。

※自由回答欄が不足する場合は、適宜、別紙などをご用意いただければ幸いです。